家賃の遅延損害金について、契約書と電卓を前に確認する賃貸管理担当者

家賃の遅延損害金は請求できる?契約書の確認と計算の考え方

家賃の入金が数日遅れている。ようやく連絡がついて「来週には払います」と言われたとき、ふと頭をよぎりますよね。「これ、遅れた分の損害金って請求していいんだろうか」と。

取れるものなら取りたい気もするし、でも金額もよく分からない。強く言って関係がこじれるのも避けたい。そもそも契約書のどこを見ればいいのかも曖昧なまま、なんとなく請求せずに済ませてしまう——遅延損害金は、そんなふうにモヤっと後回しになりやすいテーマです。

まず、遅延損害金は多くの場合きちんと根拠があり、請求できます。ただし「いくら取れるか」は契約書の書き方で変わります。焦らず、順番に見ていきましょう。

結論:家賃の遅延損害金は、原則として請求できます。金額の考え方は2通り。①契約書に「遅延損害金 年◯%」という特約があれば、その利率で計算します(個人の入居者との契約では、消費者契約法により上限は年14.6%)。②特約がなければ、法定利率(2020年の民法改正以降は年3%。3年ごとに見直される変動制で、現在は年3%)で計算します。計算式は「滞納家賃 × 年利率 ÷ 365 × 遅れた日数」。実際の金額は思ったより小さいことが多いので、回収の手間や入居者との関係も踏まえて、請求するかどうかを落ち着いて判断すれば大丈夫です。

まず、何を確認すればいいか

やることを整理すると、次の3つに絞れます。

  1. 契約書に「遅延損害金」の特約があるか、あれば利率が何%かを確認する
  2. 特約がなければ、法定利率(現在は年3%)で計算すると考える
  3. 「滞納家賃 × 年利率 ÷ 365 × 遅れた日数」で、おおよその金額を出してみる

この順番なら、根拠のない請求にも、取りっぱぐれにもならずに済みます。ひとつずつ見ていきましょう。

手順を小さく分けて

契約の特約確認から金額の算出までを順番に進める賃貸管理担当者

一度に結論を出そうとしなくて大丈夫です。

まず、契約書の特約を確認する。賃貸借契約書に「賃料の支払いを遅滞したときは、年◯%の割合による遅延損害金を支払う」といった条項があるかを見ます。多くの契約書にはこの一文が入っていて、そこに書かれた利率が、そのまま計算の基準になります。個人の入居者(事業用ではなく住まいとしての契約)の場合、この利率は消費者契約法により年14.6%が上限と決まっているので、契約書に14.6%と書かれていることが多いです。それを超える利率が書いてあっても、超えた部分は無効になります。

次に、特約がないときは法定利率で考える。契約書に遅延損害金の定めがなくても、支払いが遅れたこと自体に対する損害金は法律上請求できます。この場合は法定利率を使います。法定利率は2020年の民法改正で年3%になり、3年ごとに見直される変動制ですが、現在も年3%です。契約時点の利率が適用されるので、迷ったら「特約がなければ年3%」と覚えておけば実務ではおおむね足ります。

そのあとで、金額を計算してみる。計算式はシンプルです。

滞納家賃 × 年利率 ÷ 365 × 遅れた日数

一年分の利息を出して、それを日割りにして、遅れた日数をかける、というだけの形です。次の具体例で感覚をつかんでみてください。

具体例で金額を出してみる

数字を入れてみると、イメージがつかみやすくなります。

例1:家賃8万円、特約で年14.6%、支払いが30日遅れた場合

例2:家賃6万円、特約なし(法定利率 年3%)、支払いが60日遅れた場合

計算してみると分かる通り、遅延損害金そのものは、数百円〜千円程度になることが多いです。「思ったより小さいな」と感じたかもしれません。実務では、この金額を1円単位で厳密に請求するというより、「遅れれば損害金が発生する」という契約上のルールを、必要な場面で丁寧に伝えられるようにしておく、という使い方が中心になります。

影響:請求するかどうかの判断

金額が小さいぶん、「わざわざ請求して関係を悪くする必要があるのか」と迷う場面も出てきます。ここは、次のように整理すると判断しやすくなります。

大切なのは、オーナー(貸主)が最終的な債権者だということです。遅延損害金を請求する・しない、いくらで和解するといった判断は、管理会社の一存ではなく、貸主の意向を確認したうえで進めると、後々の責任のうえでも安心です。

明日やること・チェックリスト

まずは、気になっている1件の契約書を開いて、次の項目を確認してみましょう。

全部を今日終わらせる必要はありません。まずは契約書の該当条項を一度見ておくだけでも、次に遅れが起きたときの動きが、ぐっと落ち着いたものになります。

遅延損害金の確認を終え、契約書を閉じて穏やかに一息つく賃貸管理担当者

最後に

遅延損害金は、金額こそ小さくても、「契約のルールをきちんと知っておく」ことそのものが、次の対応の落ち着きにつながります。取れるか取れないかで身構えるより、まず自分の手元の契約書で根拠を確認できたなら、それでもう一歩前に進めています。

滞納の最初の一報の整え方は家賃が遅れたときの最初の一報に、催告が必要になったときの文面は催告書(督促状)の文面の整え方に、分割の相談を受けたときは分割払いの合意を書面に残す進め方にまとめています。

感謝されにくい仕事ですが、人の暮らしとお金の両方を静かに支えている仕事です。今日は、気になる1件の契約書を開いて、根拠を確かめられれば、それで十分です。

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