
催告書(督促状)の文面、丁寧かつ要点を外さず整える書き方
電話・メールで反応が途切れたら、書面で淡々と事実を伝える番です。強弱で迷ったら、「何が未入金で、いつまでに、どうしてほしいか」を正確に。現場で回る最低ラインは次の3点です。
- 対象月・金額(できれば内訳)
- 具体的な期限(到達後5〜7営業日を目安)
- 振込先と連絡先
結論:催告書は感情ではなく事実の通知。①滞納の事実(いつ・いくら)、②支払いのお願いと期限、③連絡先を、丁寧な言い回しでそろえれば十分です。
まず、催告書に入れる項目をそろえる

最低限そろえる項目(現場の最低ラインと優先順位を明記します)。
- A(最優先)
- 宛名(契約者の氏名)
- 物件名・部屋番号(契約特定)
- 対象月と金額(複数月・複合費目は内訳行を分ける/合計も併記)
- 支払期限(到達後5〜7営業日を目安に具体日付で)
- 振込先(口座名義を含む)
- B
- 行き違いへの一文(すでにお支払い済みの場合の配慮)
- 連絡先(電話に加え、会社で許容するメール・SMS/LINE・Webフォーム等)
- C
- 同じ内容の控え(写メでも可)
- 送付方法と投函・到達の記録(繁忙時は翌営業日まとめ登録可)
ポイントは数字の正確さです。入金台帳・口座明細と照合し、金額・対象月・振込先のケタや名義を必ず再確認します。
実務の目安(期限・送付方法・連絡窓口)
- 期限設定
- 到達後5〜7営業日を目安に設定(休日をまたぐ場合はその分を延長)
- 例:本書到達の翌営業日から起算し5営業日目の17:00 まで(自社の締切時刻に合わせる)
- 投函日ベースではなく到達ベースで書く(不達・遅延の混乱を避ける)
- 送付方法
- 初回は社内規程に従い、特定記録または簡易書留を推奨(規程が優先)
- 普通郵便しか使えない場合の代替エビデンス:封入物の控え、封筒宛名面の写真、投函時刻の記録
- 連絡手段
- 電話+会社が許容する窓口のみ明記(メール、SMS/LINE、Webフォーム等)
- 窓口は一本化し、担当者名は部署名のみでも可(大量発生時の負荷分散)
複数月・複合費目の書き方と遅延損害金
- 複数月・複合費目
- 行ごとに「月/費目/金額」を並べ、最下段に合計金額
- 費目例:家賃/共益費/駐車場/水道料 等(社内科目に合わせる)
- 端数調整・前受・差額がある場合は備考に「前受控除後差引」など一言を添える
- 遅延損害金
- 記載可否は契約条項を確認(条項・算定式に従うこと)
- 実務では、初回書面は本体のみ請求としても可(催促の障壁を下げる)
- 記載する場合の書きぶり例:
- 「遅延損害金は契約条項に基づき、支払期日の翌日からお支払日までの日数で算定します(詳細は公式情報で確認のうえ記載)。」
催告書ひな形(1枚でそのまま使える簡易版)
以下をそのまま貼り付け、【 】内を差し替えてください。大量発生時は「合計+内訳は別紙」でも可。
件名:家賃等のお支払いのお願い(催告)
【ご契約者様名】 様 【物件名】【部屋番号】
平素よりお世話になっております。下記のとおり、当方でご入金の確認ができておりません。お手数ですがご確認のうえ、期日までにお手続きをお願いいたします。
- 未入金の内訳(本書作成日時点)
【YYYY年MM月分】家賃【¥】/共益費【¥】/駐車場【¥】/水道料【¥】/その他【¥】 【YYYY年MM月分】家賃【¥】/共益費【¥】/駐車場【¥】/水道料【¥】/その他【¥】 合計:【¥】(内訳は別紙のとおり としても可)
- お支払い期限
本書到達日の翌営業日から起算して【5〜7】営業日目の【17:00】まで (休日をまたぐ場合は翌営業日に繰り下げます)
- お支払い方法
振込先:【金融機関名】【支店名】【口座種別】【口座番号】 口座名義:【カナ/漢字】
- ご連絡先(ご事情のご相談もこちらへ)
【部署名】【担当者名(部署名のみでも可)】 電話:【】/メール:【】/【SMS/LINE/問い合わせフォーム 等、会社で許容する窓口のみ記載】
行き違いで既にご入金済みの場合は、本状と行き違いとなりましたことをご容赦ください。反応がない/慢性的な場合の一文(必要に応じて追記):期限までにご入金・ご連絡なき場合は、契約に基づく対応を検討します。
【会社名/住所/発行日】
(備考)遅延損害金の記載は契約条項に基づき、必要に応じて追記してください。
やわらかく、でも要点を外さない言い回し

- きつい:「家賃を滞納しています。至急支払ってください。」
→ ていねい:「○月分の家賃のご入金が当方で確認できておりません。お手数ですが、ご確認のうえお支払いをお願いいたします。」
- きつい:「支払わない場合は法的措置をとります。」
→ ていねい:「ご事情がある場合は、お早めにご連絡ください。お支払いやご相談が難しい状況でしたら、一度お話をうかがえればと思います。」
- 末尾の定番:「なお、本状と行き違いでお支払いいただいておりましたら、何卒ご容赦ください。」
主語を「相手の落ち度」ではなく「当方の確認状況」に置くと、責める印象を抑えられます。期限は「できるだけ早く」ではなく日付・時刻まで具体化すると動いてもらいやすいです。
送る前に確認したいこと(チェックリストを現場仕様に)
送る前に、最低ラインの3点がそろっているかを確認します。繁忙時は優先順位の高いものから入れていけば大丈夫です。
最低ライン(これだけは入れる)
- ①対象月・金額(できれば内訳)
- ②具体的期限(到達後5〜7営業日)
- ③振込先と連絡先
優先順位
- A:金額・期限・振込先
- B:行き違い文と内訳
- C:控え作成と送付記録
追加で抜けがちな観点
- 内訳確認(費目・月別の突合/前受・差額の整理)
- 送付方法の証跡(発送手段、投函時刻、封入物控え、封筒写真)
- 期限の妥当性(到達日基準、休日跨ぎの繰下げ、締切時刻)
代替策(できないときの回し方)
- 普通郵便のみ:合計+「内訳は別紙」でも可。証跡は写メ保存で可。
- 大量発生時:担当者名は部署名のみでも可。証跡登録は翌営業日まとめでも可。
- 初回書面:遅延損害金は未記載でも可(本体回収を優先)。
免除条件(繁忙時に外してよい最低限)
- 送付方法の証跡は翌営業日にまとめ登録
- 遅延損害金は初回書面では記載不要
法的効力をねらった通知や解除の予告など踏み込む文面は、契約条項を確認のうえ、必要に応じて専門家・所属団体・家賃保証会社に事前相談を。書面より前の最初の連絡は家賃が遅れたときの最初の一報、保証付物件の実務は家賃保証会社への代位弁済の依頼手順も参考に。
保証会社・連帯保証人への同送/連絡の基準と多言語対応
- 同送・連絡の基準
- 契約・個人情報の取扱い同意を確認。保証付の場合は、契約に沿って保証会社へ先行連絡・所定様式での報告を優先。
- 連帯保証人への送付は、契約条項・社内規程に従い、同趣旨・同内容で整理。
- 多言語対応
- 英訳等を併記する場合は、日本語版を正本と明記。誤訳リスクを避け、不確かな表現は「日本語原文参照」とする。
社内承認・保全チェックと次の打ち手フロー(簡易図)
- 承認と保全
- 上長承認/案件ID付与/保管場所の統一(電子・紙)
- 個人情報のマスキング方針(社内共有時は住所・口座の一部伏せ)
- 送付証跡の一括管理(発送手段・投函時刻・到達見込/到達確認)
- 次の打ち手(目安の流れ)
- 初回催告 →(反応なし)→ 再催告 →(反応なし・累積増)→ 内容証明の検討 →(なお不履行)→ 解除・明渡等の検討(契約・社内規程に基づき判断)
- いずれの段階でも、保証会社付は所定フローを優先

最後に
完璧を狙うより、「事実→お願いと期限→連絡先」の並びと、期限・送付・証跡の最低ラインを守ること。今日の型をひとつ手元に置けば、次から迷いは減り、現場で回せます。相手の事情に配慮しつつ、記録に残る丁寧な一歩を確実に積みましょう。