
「更新しません」の連絡が来たとき、退去手続きへつなぐ流れ
更新の案内を送って、そろそろ手続きの返事が来るころ——そう思って開いた封筒やメールに「今回は更新せず、退去します」。少し肩透かしを食らったような、でもすぐ頭を切り替えなきゃ、という気持ちになりますよね。
更新の段取りを進めていた矢先に、話は退去へ。しかも退去には期限があり、そこから原状回復・精算・次の募集まで、やることが一気に増えます。「何から手をつければ」と迷うのは自然なことです。
結論:まず慌てなくて大丈夫です。最初にやるのは「解約の意思を、いつ・どの部屋のことか、書面で受け止めること」だけ。そこさえ押さえれば、あとは退去日を起点に段取りを逆算していけます。更新の手続きは、いったん止めて構いません。
最初の返事を受けた時点で、意識したいのは次の3つです。
- 解約の申し出を受け付け、退去希望日と解約予告期間の関係を確認する
- 更新手続き(更新案内・更新料の請求など)を止め、退去対応へ切り替える
- 退去日を起点に、立会い・原状回復・敷金精算・次の募集を逆算する
いま何が起きているか

「更新しません」という連絡は、契約の実務では解約(退去)の申し出にあたります。更新のレールを走っていた案件が、退去のレールに乗り換わったと考えると整理しやすいです。
ここで最初に見たいのが、契約書に書かれた解約予告期間です。多くの居住用契約では「退去の◯か月前までに通知」と定められていて、1か月前という契約が一般的ですが、契約によって異なります。入居者の希望退去日が、この予告期間を満たしているかで、進め方が少し変わります。
- 予告期間を満たしている場合:希望どおりの退去日で段取りを組みます。
- 希望日が予告期間より早い場合:契約上、予告期間ぶんの家賃をいただくのか、日割りにするのかなど、契約書の定めにそって確認します。ここは入居者と行き違いになりやすいので、早めにやわらかく伝えておくと安心です。
なお、更新のタイミングと退去が重なるときは、更新料や更新後の契約がどう扱われるかも論点になります。更新日をまたぐのか、その前に退去するのかで変わるため、契約書と更新案内の時期を照らし合わせて確認しておきましょう。判断に迷う契約は、無理に自己判断せず、契約内容や社内の取り決めに立ち返って確かめれば大丈夫です。
手順を小さく分けて
一度に全部を進めようとせず、ひとつずついきましょう。
まず、受け付ける。口頭やメールで「退去します」と来たら、退去日・部屋番号・連絡先を控え、可能なら解約通知書(解約届)で書面に残してもらいます。書面が基本ですが、まだ届いていなくても、受けた事実と日付を記録に残しておけば第一歩は十分です。「承りました。退去日は◯月◯日で確認しますね」と一度返しておくと、双方の認識がそろいます。
次に、切り替える。進めていた更新手続きは、いったん止めます。更新案内の再送や更新料の請求を続けてしまうと、入居者を混乱させたり、行き違いのもとになります。社内の台帳や進行メモも「更新」から「退去」へ状態を更新しておきましょう。
そのあとで、逆算する。退去日を起点に、手前へ段取りを並べます。
- 退去日までに:解約の書面受領、退去立会いの日程調整、鍵の返却方法の案内
- 退去当日:室内の立会い・写真記録、鍵の受け取り、メーター確認
- 退去後:原状回復の見積り、敷金精算、次の募集の準備
退去日が決まってからの具体的な段取りは、退去の連絡が来たら動く精算までの段取りリストに時系列でまとめてあります。あわせて見ると、抜けを防ぎやすくなります。
対応で確認したいことの考え方
忙しい合間でも回る最小ライン(まずこれだけ)
- 退去希望日・部屋番号・連絡先を控えたか
- 契約書で解約予告期間を確認し、希望日と照らしたか
- 更新手続きを止め、台帳を「退去」に切り替えたか
優先順位
- 解約の受付と退去日の確定 2. 予告期間・更新との関係の確認 3. 立会い日程の調整 4. 原状回復・精算・募集の逆算
行き違いを防ぐために
- 予告期間より早い退去希望のときは、家賃の扱い(日割り/予告期間ぶん)を早めに伝える
- 退去日・立会い日・鍵返却の方法は、口頭で終わらせず書面かメールで残す
- 敷金精算の目安時期(退去後◯日以内など)も、聞かれる前に案内しておく
記録に残したいこと
- 解約申し出の受付日/退去希望日/部屋番号/解約書面の受領有無/予告期間の確認結果/立会い予定日/鍵返却方法/担当者
更新料や法定更新との線引き
- 更新日の直前に退去となる場合、更新料が発生するかは契約書の定めと退去日の前後関係によります。すでに更新案内や請求を出していたら、退去に切り替わった旨を早めに伝え、行き違いを整理しておきましょう。
- 更新も解約もないまま更新日を過ぎると、法定更新として契約が続く形になることがあります。「更新しない=自動で契約終了」ではない点に注意し、退去なら解約の意思と退去日をきちんと確定させます。
- 退去時の負担については、原状回復の考え方(経年劣化・通常損耗は貸主負担が原則)を踏まえて進めます。強い言葉で負担を迫るのではなく、根拠を示して落ち着いて説明すれば大丈夫です。

最後に
更新だと思っていた案件が退去に変わると、一瞬「うわ、増えた」と身構えますよね。でも、やることの中身は変わりません。解約を受け止め、退去日を確かめ、そこから逆算する。その順番さえ思い出せれば、慌てずに進められます。今日は、退去日と予告期間の確認だけで十分。続きは、退去日を起点に一歩ずつで大丈夫です。